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胸部レントゲン(X線)検査と異常が見つかった場合の精密検査

公開日:2022.09.06

短時間で検査でき、比較的すぐに画像を確認できることから、広く行われているレントゲン(X線)検査。今回は、健康診断や肺がん検診で実施されている胸部レントゲン検査の役割や、精密検査で受ける胸部CT検査について詳しく解説します。

胸部レントゲン(X線)検査とは

レントゲン(X線)検査は、X線という電磁波を使ってからだの内部の様子を画像化する検査です。骨や脂肪、水分など、体内の組織によってX線の通りやすさに差があることを利用し、各組織を通過したX線の量の違いをモノクロ画像として写し出します。空気などのX線が通過しやすい部分は黒く、骨などのX線が通過しにくい部分は白く表れます。

健康診断などで行われる胸部レントゲン検査では、背部から胸部にX線を照射し、肺や心臓、両肺の間にある縦隔(じゅうかく)などの器官の異常を調べます。ボタンや金属などが付いている衣類を着ていると画像に写りこんでしまうため、検査は検査着に着替えて行います。胸部をはっきりと写すために、撮影時は息止めが必要です。息を止めることで肺の動きが止まり、画像がボケにくくなります。また、息を吸い込むことにより空気が入って肺が広がり、肺の構造が写りやすくなります。

レントゲン検査は放射線を利用するため被ばくが生じますが、1回の胸部レントゲン検査で受ける被ばく量は、約0.06mSvです。成人の健康に影響を与えるとされる被ばく量が100mSv以上なので、極端に回数を重ねないかぎりレントゲン検査による悪影響はないと考えられます。ただし、胎児が放射線の影響を受けるおそれがあるため、妊娠中、あるいは妊娠の可能性がある人は必ず医師に伝えて相談することが大切です。

 

胸部レントゲン(X線)検査でわかる病気

健康診断における胸部レントゲン検査の主な目的は、肺結核や肺炎などの肺の炎症や、肺がんなどの呼吸器の病気の発見です。また、大動脈の異常や心不全などの循環器の病気の発見にも役立ちます。

〈胸部レントゲン検査でよく見られる肺の所見〉

●胸膜の癒着、肥厚
胸膜とは、肺を包む膜のことです。過去に細菌感染などで胸膜の炎症を起こしたことがあると、傷跡として胸膜が癒着したり、厚くなったりすることがあります。古い傷跡であれば問題ありませんが、以前のレントゲン画像と比べて陰影が変化してきている場合は、胸部CT検査などの精密検査が必要になることもあります。

●結節影
レントゲン画像では肺は黒っぽく写りますが、肺に何らかの病気ができるとその部分だけ白っぽく写ります。肺がんや肺結核、肺真菌症、古い炎症が治った傷跡などの可能性もあります。血管と骨などが重なった場合にも、同様に写ることもあります。問題となる異常な影が認められたら、多くは精密検査を実施して再度確認を行います。

●空洞影
肺の一部に穴があき、その穴を囲む壁が厚くなったドーナツ状の陰影を空洞影と呼びます。空洞ができる主な原因として、結核などの感染症と肺がんの2つが挙げられます。感染症の場合、発熱や黄色いたん、咳などの症状があることが多いものの、症状が乏しいこともあります。空洞影が認められたら、たんの検査で病原菌の有無やがん細胞の有無を確認し、胸部CT検査などでより詳しく肺の病変を確認します。

 

検査時間が短く手軽に実施できる胸部レントゲン検査は、自覚症状がない段階で肺がんを早期に発見するのに有用な検査です。国の指針にもとづいて実施される肺がん検診でも胸部レントゲン検査が推奨されており、対象となる40歳以上の人なら一部の自己負担金で受けられます。名古屋市ではワンコイン500円の自己負担金で肺がん検診を実施しており、当クリニックでも受診いただけます。

■名古屋市がん検診(ワンコイン検診)■

 

胸部レントゲン(X線)検査で「要精密検査」となった場合には

レントゲン検査は病気の疑いを見つけるのに役立つ検査です。健康診断やがん検診などで胸部レントゲン検査の結果が「要精密検査」となった場合は、はっきりとした診断を行うために、胸部CT検査などのより精度の高い画像検査を行います。

CT検査はレントゲン検査と同じくX線を利用して画像化する検査ですが、胸部レントゲン検査が1方向からX線を照射するため臓器の重なりなどで死角ができてしまうのに対して、CT検査ではからだの周りからX線を照射するため、体内の様子を輪切りの断面画像として写し出すことができ、より精密な診断が可能になります。
胸部レントゲン検査で異常が見つかっても、必ず病気が潜んでいるわけではありませんが、自己判断せずしっかり精密検査で確認することが重要です。

また、胸部CT検査は国が定めるがん検診には含まれていませんが、肺がんの有無を調べる画像診断法として現時点でもっとも有力な方法とされており、がんの大きさや性質、周囲の臓器への広がりなどを調べることができます。胸部CT検査なら小さな肺がんも発見できる可能性が高まるため、人間ドックのオプションで選択する人も少なくありません。特に、喫煙歴が長いなど肺がんのリスクが高いと考えられる人では、意味のある検査と考えられます。

当クリニックでは、被ばく量を少なく抑えながら撮影する低線量胸部マルチスライスCTを導入しており、各種健康診断・人間ドックのオプションとして検査をお受けいただけます。胸部CT検査について詳しくお知りになりたい方は、お気軽にお問い合わせください。
※当院では、30歳未満の方については、CT検査を推奨しておりません。

 

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参考文献

  • 国立がん研究センター「がん情報サービス 肺がん」
  • 日本呼吸器学会「呼吸器Q&A」

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当クリニックでは皆さまのご要望に柔軟に対応できるよう、多様なコースをご用意しています。
どのコースを受けたら良いかわからない場合は、お気軽にご相談ください。

森山 紀之

医療法人社団進興会 理事長

1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。

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