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超音波検査(エコー検査)でわかることとは?

公開日:2023.10.20

リアルタイムにからだの内部の状態を観察することができる超音波検査(エコー検査)。短時間で安全に行えるため、外来診療には欠かせない検査です。また、超音波検査はその特性を生かして、人間ドックの検査項目としても実施されています。今回は、超音波検査とはどのような検査なのか、その仕組みや検査でわかることについて、詳しく解説します。

超音波検査(エコー検査)とは、どんな検査?

超音波検査は、人の耳では聞くことのできない高い周波数の音波(超音波)を利用して行う検査です。超音波を発生させる器械(プローブ)をからだの表面に当てるだけで検査を行えるため、特に準備も必要なく、短時間で手軽に受けることができます。

からだに超音波を当てると、体内の臓器から超音波がはね返ってきます。超音波検査では、この反射してきた超音波(反射波)を電気信号に変換し、画像として表示させることで、臓器の形や状態を知ることができます。反射波のことを英語でエコーというため、超音波検査はエコー検査とも呼ばれます。

プローブとからだの表面との間に空気があると超音波が伝わりづらくなるため、その隙間を埋めるためにジェルを塗ってから検査を行うことが一般的です。
当院では、温めたジェルを使用し、検査後も温かいタオルでふき取りを行いますので、快適に検査を受けられます。

 

超音波検査(エコー検査)の特徴とは?

からだの内部を映し出す検査には、超音波検査のほかにX線検査(レントゲン検査)やCT検査、MRI検査などがあります。検査ごとに特徴があるため、部位や目的に応じた検査が行われます。

X線検査やCT検査はX線という放射線を使用するため、被ばくのリスクがあります(適切な頻度で受ける分には、からだに影響が出ることはありません)。一方、超音波検査では被ばくの心配はなく、痛みなどを感じることもありません。こうした特徴から、超音波検査は病気の診断だけでなく、経過観察や妊婦健診などにも適した検査です。

メリット デメリット

・被ばくのリスクがない

・痛みがなく、短時間で検査できる

・検査室だけでなく、診察室や処置室など、場所を選ばず検査できる

・自室臓器を含めた、さまざまな臓器を観察することができ、がんや動脈硬化など、幅広い病気の発見につながる

・心臓の動きや血流をリアルタイムで観察でき、臓器が動いている様子を知ることができる

・骨や空気、厚い脂肪があると超音波が通りにくいため、骨に囲まれた部位や、肺や胃腸などの空気が存在する臓器の検査には不向き

・検査する人の知識や経験によって精度が左右されることがある

 

超音波検査(エコー検査)でわかる病気

超音波検査は幅広い臓器の観察に用いられる検査です。検査する部位によって、心臓超音波検査、腹部超音波検査、頸動脈超音波検査、甲状腺超音波検査、乳房超音波検査などがあります。

〈それぞれの超音波検査でわかること〉

●心臓超音波検査

心臓の動きや構造、大きさ、壁の厚さ、心臓内の血流を観察します。人工弁やペースメーカーを使用している場合でも検査を行うことができます。

<確認できる主な病気>
心筋梗塞、心肥大、心筋症、弁膜症、心膜炎、先天性心疾患

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●腹部超音波検査

主に肝臓、胆嚢(たんのう)・胆管、膵臓、腎臓、脾臓、腹部大動脈を対象に、腫瘍(しゅよう)や結石、炎症の有無などを確認します。子宮や卵巣を観察する場合は、腟の中から超音波を当てて調べる経腟超音波検査を行うことが一般的です。

<確認できる主な病気>
肝臓:脂肪肝、肝嚢胞、肝腫瘍、肝がん胆嚢・胆管:胆管結石、胆嚢ポリープ、胆嚢結石、胆嚢炎、胆嚢がん、胆管がん
膵臓:膵嚢胞、膵炎、膵腫瘍、膵臓がん
腎臓:腎結石、腎嚢胞、水腎症、腎腫瘍、腎臓がん
脾臓:脾腫、脾嚢胞、脾腫瘍
前立腺:前立腺肥大症、前立腺がん
腹部大動脈:腹部大動脈瘤

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●頸動脈超音波検査

頸動脈と呼ばれる首の血管の壁の厚さやプラーク(コレステロールなどが蓄積して血管内にできた隆起)の状態を調べることで、動脈硬化の進行度合いを判定します。

<確認できる主な病気>
確認できる主な病気
動脈硬化の進行度、頸動脈の狭窄、脳梗塞の原因となるプラークの有無

【関連記事】
知っておきたい動脈硬化のコト―精密検査と予防法

●甲状腺超音波検査

甲状腺の大きさや腫瘍の有無を調べます。甲状腺機能の異常が疑われる場合は、甲状腺ホルモンを調べるための血液検査も行います。

<確認できる主な病気>
甲状腺腫瘍、バセドウ病、橋本病、亜急性甲状腺炎

【関連記事】
甲状腺の機能に異常が起こる病気とは?

●乳房超音波検査

乳房内部のしこりの有無や乳管の変化を調べます。乳がんに特徴的にみられる小さな石灰化を見つけることは難しいため、乳がんの早期発見を目的とする場合、40歳以上の女性ではマンモグラフィを基本とし、乳房超音波検査はそれを補う目的で受けるのがよいと考えられます。
一方、乳房内の乳腺が多い“高濃度乳房”の方では、マンモグラフィで乳房が白く写ってしこりが発見しにくい場合があり、乳房超音波検査が役立ちます。

<確認できる主な病気>
確認できる主な病気
乳腺線維腺腫、乳頭腫、乳腺症、乳がん

【関連記事】
乳がん検診はマンモグラフィと超音波検査、どちらを受けるべき?

当クリニックでは、心臓超音波検査、頸動脈超音波検査、腹部超音波検査、乳房超音波検査、経腟超音波検査、甲状腺超音波検査を受診いただくことが可能です。腹部超音波検査はすべてのオリジナル人間ドックコースに含まれているほか、その他の検査も各種健康診断・人間ドックのオプションとして追加いただくことが可能です。

超音波検査はもちろん、気になる病気、調べたいことに応じて適切な検査をご紹介いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

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人間ドックコース・料金

当クリニックでは皆さまのご要望に柔軟に対応できるよう、多様なコースをご用意しています。
どのコースを受けたら良いかわからない場合は、お気軽にご相談ください。

森山 紀之

医療法人社団進興会 理事長

1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。

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