予防できていますか?インフルエンザの基礎知識
今年もインフルエンザが流行する季節が近づいてきました。「自分は大丈夫!」と思っていませんか?インフルエンザは人から人に感染する病気です。一人ひとりが正しい予防行動をとり、感染しないように心がけることが、インフルエンザの流行を抑えることに繋がります。インフルエンザについて正しい知識を身につけ、予防するよう心がけましょう。
そこで、今回はインフルエンザの基礎知識についてお話します。
インフルエンザと風邪の違いは?
インフルエンザは、インフルエンザウィルスが人に感染して引き起こす感染症で、風邪の症状に加え、38度以上の発熱、筋肉痛や全身の倦怠感など、強い全身症状が現れます。潜伏期間が短く、感染力が強く、短期間に爆発的に流行し、乳幼児から高齢者まで多くの人を巻き込む危険性のある感染症です。
通常の風邪との違いは、原因となるウイルスの種類が異なります。また、通常の風邪の症状は、喉の痛み、鼻汁、くしゃみや咳等が中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くはなく、重症化することはほとんどありません。
インフルエンザ | 普通の風邪 | |
---|---|---|
症状 | 38℃以上の発熱 鼻水・のどや胸の痛み 下痢や腹痛 頭痛・関節痛・筋肉痛などの全身症状 |
発熱 のどの痛み 鼻水・くしゃみや咳 全身症状はあまり見られない |
流行 | 短期間に膨大な人に感染 | 徐々に感染が広がる |
乳幼児は熱性けいれんや脳症を引き起こす可能性があります。また、高齢者や心臓・腎臓・呼吸器などに基礎疾患をもつ人は、気管支炎、肺炎などを併発したり基礎疾患の悪化を招いたりすることもあるため注意が必要です。
インフルエンザはいつ流行する?潜伏期間は?
インフルエンザは11月ごろから流行り始め、ピークは12~3月ごろ。通常は4月になると終息へ向かいますが、最近は春先や夏ごろまで感染が続くこともあります。潜伏期間は1~3日。発熱は2~3日続き、約1週間で回復すると言われています。
インフルエンザの診断方法、治療方法とは?
現在、インフルエンザの診断にあたって医療機関等では、約15分程度で結果の分かる迅速診断キットを使用することが一般的です。万が一インフルエンザにかかってしまった場合、発症から48時間以内に抗インフルエンザウイルス薬の服用を開始すれば、発熱期間の短縮などの効果が期待できると言われています。症状がでた時点で早めに医療機関を受診しましょう。
インフルエンザを予防するための大切な5つこと
<大切なこと①> 流行前のワクチン接種
予防接種によりインフルエンザ感染を完全に防ぐことはできませんが、感染したときの重症化を防ぐという点で大きな効果が期待できます。予防接種の効果が現れるまでには通常約2週間程度かかります。10月の下旬から12月中旬までに接種を済ませておくことがおすすめです。
当クリニックでもインフルエンザワクチンの接種を行っています。詳しくはこちら>
<大切なこと②> 適度な湿度の保持
空気が乾燥すると粘膜の防御機能が低下し、ウイルスが侵入しやすくなり、インフルエンザにかかりやすくなります。室内は特に乾燥しやすいので、加湿器などを使って適度な湿度(50~60%)に保つことも感染予防につながります。また外出時にはこまめに水分補給をして、喉を潤すことを心掛けると良いでしょう。マスクには、ウイルスの侵入を防ぐ効果のほか、のどの乾燥を抑える効果もあるので、流行シーズン中に人ごみに行く場合や、満員電車に乗るときなどはつけておくと安心です。
<大切なこと③> 外出後の手洗い、うがい
日頃から手洗い、うがいをすることはウイルスを除去する方法として有効です。また、手を洗うときは指先や指の間も忘れずにしっかりと洗うようにしてください。手を洗えないときのために、携帯用のアルコールジェルを持ち歩くのもおすすめです。
<大切なこと④> 人混みや繁華街への外出を控える
インフルエンザが流行する時期には、幼児や高齢者、基礎疾患がある人は極力人ごみへの外出を控えるのが良いでしょう。疲労気味・睡眠不足の方も要注意です。どうしても外出しなければならない場合は、マスクをするなどして感染を防ぐ努力をしましょう。
<大切なこと⑤>十分な睡眠と栄養バランスの良い食事を
疲れが溜まっていたり、寝不足が続くと抵抗力が落ち、ウイルスに感染しやすくなります。日ごろから十分な休養を取り、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。毎日の食事にあまり気を使っていないという方は今一度、食事のバランスを見直してみても良いかもしれません。食事バランスガイドを使って、多すぎる項目、少なすぎる項目をチェックしてみましょう。
いかがでしたか。
インフルエンザをしっかり予防してかからないようにするのがいちばんですが、予防をしていてもインフルエンザにかかってしまうことが、どうしてもあります。早期治療が大切な疾患ですので、インフルエンザが疑われるときはできるだけ早く医療機関で診察を受けるようにしてください。
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記事監修者:
ミッドタウンクリニック名駅 内科 安藤 豪将
【認定資格】
・日本内科学会 認定内科医/・日本糖尿病学会 糖尿病専門医