“たかが睡眠”が高血圧・糖尿病の要因に?!
平成30年国民健康栄養調査によると睡眠で休養が十分にとれていない人の割合は約20%と、5人に1人は自分の睡眠に対して満足できていないと推測されます。睡眠には心身の疲労を回復する重要な働きがあります。睡眠の量が不足、質が悪化することで、生活習慣病のリスクにつながることもわかってきています。
<参考>平成30年国民健康・栄養調査の結果概要、健康づくりのための睡眠指針2014より
「睡眠不足」と「不眠」の違いは?
日常生活の中で、「睡眠不足」や「不眠」を区別して使っている方はあまり多くはないかもしれません。実は医学的には意味が異なることをご存じでしょうか。睡眠不足が、「眠れるのに、眠るための時間がない」のに対し、不眠は、「眠りたいのに、眠れない」状態を指します。現代人は夜型生活やシフトワーク、長時間労働による睡眠不足などから生活リズムが崩れ、体内時計が乱れやすい環境に置かれています。体内時計が乱れた状態が続くと睡眠と覚醒のリズムが崩れ不眠につながり、生活習慣病やその他の疾患につながることが指摘されています。
“たかが睡眠”が引き起こす疾患
日本人(特に子供や就労者)の睡眠時間は世界で最も短いと言われており、忙しい毎日を過ごす中で、“たかが睡眠”と思っている方もおられるのではないでしょうか。一見、睡眠と関係がなさそうな生活習慣病にも睡眠の問題が関わっていることをご存じでしょうか?生活習慣病の中で患者数・予備軍の多い、高血圧や糖尿病は十分な睡眠をとっていない人の方が、発症リスクが高くなる研究結果が報告されています。
<高血圧との関係>
血圧は自律神経の働きによって1日のリズムを刻んでいます。起床すると交感神経が優位になり血圧が上昇し、日中の活動時が最も高くなります。夕方に向けて副交感神経が優位に血圧は低下し、睡眠中に最も低くなります。睡眠不足や不眠などの睡眠の問題は体内時計の乱れから自律神経の乱れにつながり、高血圧発症のリスクを高めることが分かってきています。
<糖尿病との関係>
血糖値は食事によって上昇しますが、健康な人は膵臓から分泌されるインスリンの働きによって血糖値がコントロールされています。睡眠に問題が生じると、インスリンの分泌・働きの低下や食欲をコントロールするホルモンのバランスが崩れることにより、糖尿病を引き起こすことになります。
生活習慣病である、高血圧、糖尿病は自覚症状のないまま進行し、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の発症リスクにもつながります。生活習慣病の予防や改善、心血管疾患の予防のためには食事・運動療法だけでなく、体内時計を整えて質の良い睡眠を取ることが大切です。
質の良い睡眠を取るために~体内時計を整えましょう~
体内時計の乱れを整えるには生活習慣を改善することが大切です。そのためのポイントとして、次の12か条が挙げられます。あなたはいくつ心当たりがありますか?すべてを実施することは難しくても、まずは1つから始めてみましょう。
【体内時計を整える12か条のダウンロードはコチラ】
<参考>武田薬品工業株式会社:体内時計.jpより
睡眠の量と質の確保が健康への第一歩
いかがでしたか。
日々の睡眠習慣を見直すことで、将来の疾患リスクを下げることにつながります。“たかが睡眠”と思わず、日々の睡眠の量と質の確保を心がけましょう。 ミッドタウンクリニック名駅では、生活習慣病の早期発見・保健師によるフォローアップ健診がセットになった人間ドックコースもご用意しております。ぜひ皆様の健康管理にお役立てください。
お電話は「052-551-1169」音声ガイダンス「1」を押してください。
記事監修者:
ミッドタウンクリニック名駅 川島 晶子
【認定資格】
・人間ドック健診専門医/・日本医師会認定産業医