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認知症の前段階、軽度認知障害(MCI)とは?

公開日:2021.08.16

認知症の一歩手前の状態とされる軽度認知障害(MCI)。早期に発見し適切な対策をとれば、MCIを改善したり、認知症の発症を予防できる可能性があります。

今回はMCIを早期発見するために知っておきたいことや進行を防ぐための方法、MCIのリスクを調べる検査などについて解説します。

軽度認知障害(MCI)とはどんな状態?

高齢化にともない、認知症になる人の数はますます増えつつあります。全国調査によると、わが国の認知症高齢者の数は、2012年で462 万人と推計されており、これが2025年には、65 歳以上の高齢者の約5人に1人である約700万人に達することが見込まれ ています。[※1]

認知症は、何らかの脳の病気によって記憶力などの認知機能が低下し、仕事や日常生活に支障をきたした状態です。
認知症を引き起こす病気にはさまざまなものがありますが、最も多いのがアルツハイマー病です。アルツハイマー病による認知症(アルツハイマー型認知症)には、認知症になる一歩手前の段階があり、この段階を「軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)」と呼びます。

MCIは、正常な状態と認知症の中間であり、記憶力や注意力などの認知機能に低下がみられるものの、日常生活に支障をきたすほどではない状態を指します。65歳以上でMCIの人の割合は15~25%と推定されており[※2]、MCIであることが気づかれないままになっている人も少なくないと考えられます。

 

〈軽度認知障害(MCI)の定義〉

  • ・年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する。
  • ・本人または家族による物忘れの訴えがある。
  • ・全般的な認知機能は正常範囲である。
  • ・日常生活動作は自立している。
  • ・認知症ではない。

厚生労働省 e-ヘルスネット 軽度認知障害より

 

認知症への進行を防ぐことはできる?

MCIになると必ず認知症に進行するというわけではなく、正常な状態に戻る可能性もあります。認知症への進行を予防するには、早い段階から適切な対策をとることが有用だとされており、できるだけ早期にMCIを発見することが重要です。

MCIを改善するための対策には、健康的な食事や運動、認知機能トレーニングなどがあります。高血圧や糖尿病、脂質異常症などの病気があると、MCIから認知症へ進行しやすくなると考えられているため、こうした持病がある場合はその治療もしっかりと継続することが大切です。

 

〈MCIから認知症への進行を防ぐために〉

①食事
野菜・果物をよく食べる
魚をよく食べる
ポリフェノールを含む食品をとる(ココアなど)
高カロリー・高脂肪食は控える

②運動
適度な運動を行う(週に3回以上が効果的)
特にウォーキングなどの有酸素運動が効果的

③認知機能トレーニング
新聞や本を読む
ゲームを楽しむ
楽器を演奏する
など

 

軽度認知障害(MCI)を早期発見するには

認知症の場合、食事や入浴、着替えなどの身の回りのことを行うのが難しくなりますが、MCIでは日常生活に大きな支障が出ないため、家族や周囲の人が気づきにくいという問題があります。MCIを早期に発見するには、MCIの特徴をよく知っておくことが大切です。

MCIには、物忘れの症状が主な健忘型MCIと、注意力や遂行力などの記憶力以外の認知機能が低下する非健忘型MCIがあります。MCIの記憶障害は加齢によるもの忘れとは違い、「少し前のことでも忘れてしまうことがよくある」「新しいことを覚えられない」といった特徴があります。また、認知機能が低下すると複雑な作業が苦手になり、「同時に2つのことを行えなくなる」「家事や仕事などでの失敗が増える」などの変化がみられるようになります。

 

日常生活の中でこうしたMCIのサインがみられたら、長期間放置しないためにも、まずはかかりつけ医に相談してみることをおすすめします。

 

MCIスクリーニング検査プラスでリスクを知ろう

アルツハイマー型認知症の原因の1つは、アミロイドベータという異常なたんぱく質が脳に蓄積することだと言われていますが、アミロイドベータはMCIの段階でもすでに蓄積していると考えられています。そこで、検査によってアミロイドベータが蓄積しやすいかどうかを調べれば、MCIのリスクを知ることができます。

当クリニックでは、アミロイドベータを排除したり、毒性を弱めたりする働きをするたんぱく質を測定することで、MCIのリスクを調べる検査(MCIスクリーニング検査プラス)を実施しています。検査は採血のみで簡単に行うことができ、各種人間ドック・健康診断にオプションとして追加することが可能です。ご自身はもちろん、ご家族について少しでも気になるサインが見られる場合には、早めの検査を検討してみてはいかがでしょうか。

 

参考文献

  • (※1)厚生労働省 認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)
  • (※2)日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」

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当クリニックでは皆さまのご要望に柔軟に対応できるよう、多様なコースをご用意しています。
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森山 紀之

医療法人社団進興会 理事長

1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。

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