早期発見のために知っておくべき大腸がんの症状と検査
日本人に多いがんのなかでも、大腸がんはかかる人の数が1位、死亡数が2位(男女合計)と上位を占めていますが、一方で早期発見が有効ながんでもあります。発見が早いほど治る可能性が高くなるため、40歳を過ぎたら毎年大腸がん検診を受けるとともに、気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診することが重要です。今回は、大腸がんの症状やリスクを高める要因、早期発見のための検査などについて解説します。
患者数が年々増加している大腸がん
大腸は長さが1.5~2mほどの臓器で、結腸と直腸に大きく分けられます。大腸がんは大腸の粘膜に発生し、ポリープ(良性の腫瘍)が大きくなる過程でがんになる場合と、正常な粘膜から直接がんが発生する場合があります。日本人の場合、S状結腸や直腸などの肛門に近い部位にがんができやすいといわれています。
大腸がんは、がんと新たに診断される患者さんの数が最も多いがんです。国立がん研究センターのデータ[※]によると、年間約15万人が大腸がんと診断され、その数は年々増加しています。年代別では男女ともに40代頃からかかる人が増えはじめ、男性の場合は生涯で10人に1人、女性の場合は13人に1人の確率で大腸がんにかかると推定されており、男女問わず気をつけるべきがんといえます。
大腸がんが増えている背景の1つに、食生活の欧米化があります。牛肉や豚肉、加工肉(ハム、ソーセージなど)の過剰摂取は大腸がんのリスク因子とされています。また、大量の飲酒や運動不足などの生活習慣も大腸がんのリスクを高めるため、予防のためには生活を改善することが大切です。
- ・赤肉(牛肉・豚肉)、加工肉を多く摂る
- ・野菜や果物をあまり食べない
- ・大量の飲酒
- ・運動不足
- ・肥満
- ・大腸にポリープがある
- ・潰瘍性大腸炎などの炎症性の病気に長くかかったことがある
- ・家族の中に大腸がんにかかった人がいる
大腸がんでは、どんな症状が現れる?
大腸がんは、早期の段階では自覚症状がほとんどありません。がんがある程度の大きさになると、血便や便秘、下痢、腹痛などの症状が現れます。進行すると慢性的な出血によって貧血が起こったり、腸閉塞(腸がふさがれた状態)になって便が出なくなり、嘔吐などの症状が現れたりすることもあります。
- ・血便(便に血が混じる)
- ・下血(肛門から血が出る)
- ・便通の異常(便秘と下痢を繰り返す、便が細い、便が残る感じがする)
- ・おなかが張る、腹痛、おなかにしこりがある
- ・体重減少
- ・貧血
- ・嘔吐
大腸は長い臓器なので、がんができた場所によって症状の現れ方が違ってきます。小腸に近い側の結腸にできたがんでは症状が現れにくいですが、肛門に近い側の結腸にできたがんでは、赤黒い血便や便通異常、腹痛などの症状が現れやすい傾向があります。直腸にできたがんの場合は、赤色の血便や細い便、残便感などの症状が現れることがあります。
大腸がんで特に多く見られるのが、血便や下血の症状です。これらの症状は痔などの病気でも起こりやすいため、痔だと思いこんで受診が遅れてしまうこともあります。血便や下血、便通異常などの症状が続く場合は、そのままにせず早めに消化器科や肛門科などを受診することが大切です。
40歳を過ぎたら、年に1度必ず大腸がん検診を!
大腸がんは、早期であれば完治する可能性の高いがんです。早期では自覚症状がほとんど現れないので、大腸がんを早期発見するには自覚症状がなくても定期的にがん検診を受けることが重要です。
国の指針にもとづいて実施される大腸がん検診では、症状が無い方への一次検診として、便に潜む血液の有無を調べる検査(便潜血検査)を行います。市区町村が実施するがん検診には検診費用の補助があるため、一部の自己負担金で検診を受けられることがほとんどです。名古屋市ではワンコイン500円の自己負担金で大腸がん検診を実施しており、当クリニックでも受診することが可能です。
40歳を過ぎると大腸がんになる人が増えはじめることから、国の指針でも40歳以上の人は年1回大腸がん検診を受けることが推奨されています。
また、一次検診で陽性の結果が出た方や大腸がんが疑われる症状がある方は、精密検査が必要です。当クリニックでも、大腸内視鏡(大腸カメラ)検査や大腸CT検査による精密検査・大腸がん検診を行っています。それぞれの検査によって検査の流れや特徴が異なるため、詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。
【関連コラム】当クリニックの大腸がん検診について
参考文献
- ※国立がん研究センター「がん情報サービス 最新がん統計」がん種別統計情報 大腸
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当クリニックでは皆さまのご要望に柔軟に対応できるよう、多様なコースをご用意しています。
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記事監修
木下 普紀子
セラヴィ新橋クリニック 消化器内視鏡専門医
東京女子医科大学を卒業。
同大学病院 助教を経て医療法人社団進興会 常勤医に就任。
その他日本内科認定医、消化器病専門医など