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高血圧を放置すると、どんな病気のリスクがあるの?

2024.08.05

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日本人の約4,300万人が高血圧にかかっていると推定されており(※1)、高血圧は国民病とも言えるほど身近な病気です。にもかかわらず、高血圧がどのような原因で起こるのか、高血圧をそのままにしているとどんな病気につながるのかは、意外と知られていないかもしれません。
今回は、高血圧の原因や高血圧の合併症について詳しく解説します。

そもそも、血圧が高いとはどんな状態?

血圧とは、心臓から送り出された血液が流れていくときに、血管の内側にかかる圧力のことです。血圧が最も高くなるのは心臓が収縮して血液を送り出したときで、このときの血圧を「収縮期血圧(上の血圧)」といいます。一方、血圧が最も低くなるのは心臓が拡張したときで、このときの血圧を「拡張期血圧(下の血圧)」といいます。

血圧は、心臓から押し出される血液の量が多いほど高くなります。例えば、過剰な運動や激しい運動で、血管の拡張が不十分な場合は血圧が高くなります。また、血管が収縮したり、硬く細くなったりすることでも血圧は高くなります。同じ量の血液でも、細く固い血管を通過するときにはより高い圧力がかかるからです。

そのほかにも、外気温の変化や睡眠、ストレスなど、血圧は様々な要因で変動します。そのため、一時的に血圧が高くなることは誰にでもあることです。しかし、くり返し血圧を測定しても正常値より高い状態が続くなら、それは「高血圧」という病気の可能性があります。

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高血圧はどんな原因で起こる?

高血圧は、原因を1つに定めることができない「本態性高血圧」と、原因がはっきりしている「二次性高血圧」に分類できます。

本態性高血圧」は、遺伝的な要因(体質)や生活習慣などの環境要因が組み合わさることで起こり、日本人の高血圧の約8~9割を占めます。一方、「二次性高血圧」は血圧を上昇させる病気や薬の副作用などで起こります。「本態性高血圧」は原因が1つに特定できないといっても、高血圧につながる主な環境要因は明らかになっています。日本人の高血圧で最も大きな要因となっているのは、塩分の摂りすぎです。極端に暑いときを除いては、塩分のとりすぎに気を付けましょう。そのほか、肥満や過度な飲酒、喫煙、運動不足、ストレスなどが高血圧の発症に関与しているといわれています。

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高血圧またはその予備軍という診断を受けている人は、ほとんどがこうした生活習慣のいずれかに該当するはずです。ご自身が当てはまるものがあれば、少しずつでも日頃の生活習慣を変えていくことが大切です。

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高血圧が引き起こす病気とは?

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高血圧は、「サイレントキラー」と呼ばれるように、ほとんどの人で自覚症状が現れません。そのため、日本人の国民病ともいわれている高血圧は生活習慣病のリスク要因の一つとして挙げられています。
高血圧を治療せずに放置していると、血管の内側に常に高い圧力がかかることになります。血管がダメージを受けて、また血管の壁はその圧力に対応して次第に厚く硬く変化し、動脈硬化が進行していきます。高血圧が危険なのは、この動脈硬化を引き起こすことです。そして、高血圧と動脈硬化は悪循環しながら症状が同時進行していきます。
高血圧を治療する目的には、動脈硬化によって起こる脳の病気、心臓の病気、腎臓の病気などの合併症を防ぐことにあります。

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高血圧が長く続くと、様々な合併症を発症するリスクが高まります。高血圧の影響は太い血管にも細い血管にも現れますが、細い血管のほうがダメージを受けやすく、脳や眼(網膜)、腎臓などの細い血管が多い臓器ほど早く合併症が起こります。さらに高血圧の状態が続いて太い血管まで障害されると、脳卒中や心筋梗塞など命を脅かす病気を発症することになりかねません。

<高血圧が引き起こす主な病気(合併症)>

●脳血管障害
脳の中を走る細い血管が突然破れ、脳の中で出血する脳出血や、脳の血管が詰まったり細くなったりして血流が途絶え、脳細胞が部分的に死滅する脳梗塞などが起こります。高血圧に加え、糖尿病や脂質異常症などの病気をあわせ持っていると、発症リスクがさらに高まります。

●心臓病
高血圧に対応して心臓がオーバーワークを続けると、心臓の壁が厚くなる心肥大や心臓のポンプ機能が低下する心不全に陥りやすくなります。また、心臓自体に酸素や栄養を送る血管に動脈硬化が起こると、心筋梗塞や狭心症を発症しやすくなります。

●高血圧性網膜症
眼底の血管から出血したり、血管が詰まったりすることで網膜の機能障害が起こり、視力が低下することがあります。

●高血圧性腎硬化症・腎不全
腎臓の血管に動脈硬化が起こると、糸球体(血液をろ過して老廃物を除去する部分)への血流が乏しくなり、腎機能が低下します。この状態がさらに悪化すると、慢性腎不全に陥るおそれがあります。

 

高血圧を早期発見するために、定期的な健診を

自覚症状に乏しい高血圧を早期発見し、改善につなげるには、定期的に血圧を測定することがもっとも大切です。勤務先や自治体で実施される健診では必ず血圧が測定されるので、欠かさず受診するようにしましょう。特に、親や兄弟に高血圧の方がいる場合には、受診をしましょう。

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まだ高血圧とは言えない「血圧高め」の状態でも動脈硬化は進み、正常な血圧の人と比べると脳血管障害や心臓病の発症リスクが高いことが分かっているため(※1)、血圧が高めと指摘されたことがあるなら、一度血管の状態をチェックする検査を受けてみるとよいかもしれません。

当クリニックでは、動脈硬化の進行度をより詳しく調べる頸動脈エコー検査や血圧脈波検査を各種健康診断・人間ドックのオプションとして実施しています。また、高血圧の合併症を調べられる心電図や心臓超音波(心エコー)検査、頭部MRI・MRA検査などをあわせて受けていただくのもおすすめです。

また、健康診断・人間ドックを受診後に医療機関への受診を勧められた方や、自分の動脈硬化のリスクを知っておきたいという方は、ぜひ当クリニックまでご相談ください。

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【関連リンク】
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参考文献
(※1)日本高血圧学会, 高血圧治療ガイドライン2019

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alt=記事監修者:
医療法人社団 進興会 理事長 森山紀之

プロフィール:
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、
東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。

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