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将来の認知症リスクに備えるヘルスケア脳検査とは?

公開日:2024.11.05

認知症ってどんな病気?

世界でも類を見ない超高齢社会を迎えている日本。
高齢者人口の増加に伴い、認知症や軽度認知障害(MCI)の患者数はますます増加すると予測されています。認知症の発症・進行は生活習慣が大きく影響するため、現時点での脳の状態を把握し、早期に対策をとることが将来の認知機能の維持に役立ちます。
今回は、脳の健康状態をチェックする「Brain Life Imaging®」「CQ test®」の2つの検査についてご紹介します。

認知症ってどんな病気?

認知症とは、脳の病気などの原因によって認知機能が持続的に低下し、日常生活に支障をきたす状態です。軽度認知症(MCI)は認知症の一歩手前の段階のことで、年齢相応を超えて認知機能が低下しているものの、日常生活に大きな影響を及ぼすほどではない状態を指します。
MCIの段階で生活習慣の改善や認知機能トレーニングなどを行えば、正常な状態に戻る可能性があります。

年を重ねると脳が委縮するため、一般的に60歳頃を過ぎると認知機能が少しずつ衰えると言われていますが、このような老化による認知機能の低下は誰にでも起こることで、病気ではありません。アルツハイマー病や脳梗塞が生じると、それらが原因となって脳の萎縮や機能の低下が通常の老化よりも速く進み、病的な状態になります。

認知症は治る?治らない?

認知症の中には、治療によって改善するものがあります。例えば、甲状腺機能低下症やビタミンB12欠乏症、脳腫瘍などの病気は、症状の一種として認知症を引き起こす可能性がありますが、病気を治療すれば認知症は改善していきます。一方、認知症の原因として最も多いアルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)は脳自体の構造が変化してしまう病気であり、一度認知症を発症してしまうと、現在の医療では根本的に治すことはできません(※1)。

アルツハイマー病は長い時間をかけて少しずつ進行していく病気で、軽度認知障害(MCI)を経て徐々に認知機能が低下していきます。前述のとおり、MCIの段階で適切な予防策を講じれば、正常な状態に回復する可能性もあるため、早期発見が非常に重要です。

だからこそ、早くから自分の脳の状態を把握し、認知症リスクに備えておくことをおすすめします。

認知症リスクを知るには、「海馬」と「認知機能」を調べることが大切

認知症リスクを知るには、「海馬」と「認知機能」を調べることが大切

「海馬」の状態を調べる。海馬は維持・再生も

認知症で最も多いアルツハイマー型認知症の場合、記憶をつかさどる「海馬」という部分から脳の萎縮(縮んでいくこと)が始まり、萎縮が脳全体に広がっていきます。萎縮は認知機能に影響を与え、特に記憶力の低下と強く関連することが分かっています(※2)。
「海馬」の萎縮は、生活習慣やストレスなどが原因といわれていますが、生活習慣の改善などにより維持・再生も可能といわれています。また、MCIの高齢者では、海馬の萎縮が進んでいる人ほど認知症に進行しやすいことも分かっています(※3)。

「認知機能」を調べる

こうしたことから、脳の海馬の大きさを測定し、同年代と比べて萎縮が進行しているかを調べることは、将来の認知機能の変化を予測する手がかりになります。さらに、認知機能テストを併用することで、現在の認知機能レベルを客観的に把握して、将来のリスクに備えることができます。

海馬を測定する「Brain Life Imaging®」とは

海馬を測定する「Brain Life Imaging®」とは

脳の「海馬」の大きさは小指ほどと小さく、従来の画像検査では正確な測定が難しい部位でした。そこで登場したのがAI技術を活用した「Brain Life Imaging®」検査です。MRI画像を使ってAIが解析し、海馬の体積を数値化します。

海馬を測定する「Brain Life Imaging®」とは

【特長1】AI技術により、海馬の体積を数値化

一般的な脳ドックは、脳の血管を調べて脳卒中のリスクの判定や脳腫瘍の有無などを調べる目的で行われており、認知機能と強く関係している海馬の萎縮度合いを測定することは困難でした。Brain Life Imaging®は高度なAI技術によって、人によって異なる脳の形態を解析し、わずか数分で海馬の体積を算出します。

【特長2】自分の海馬年齢や萎縮のスピードが分かる

海馬体積を同年代と比較することで、海馬年齢を算出します。1度だけでなく定期的に検査を受ければ、海馬の萎縮スピードが標準より速いかどうかも分かります。
脳の海馬には、一度委縮したり機能が低下したりしても、トレーニングや生活習慣の改善によって脳神経が再構築され、機能が回復する性質があります。海馬の萎縮が標準より進行していた場合、適切な生活習慣の改善に取り組めば、維持・回復も期待できます。

【特長3】脳の健康維持に役立つアドバイスをレポート形式で提示

海馬体積・海馬年齢の検査結果は、分かりやすいレポートとして提供します。検査結果を踏まえて、一人ひとりに合わせたアドバイスも記載しているので、将来の脳の健康を守るために今どのような行動をとればよいのかが一目で分かります。

認知機能を測定する「CQ test®」とは

認知機能を測定する「CQ test®」とは

日本脳ドック学会が発行する「脳ドックガイドライン」では、認知機能検査の充実・必須化について記載されており、頭部MRI検査に加えて認知機能検査を行うことは有用だと考えられます。
「CQ test®」は、タブレット端末を使って行う認知機能テストで、[*]30代から70代の健康な人であれば、どなたでも検査を受けられます。

【特長1】5つのテストで認知機能を多角的にチェック

一認知機能とは、物事を正しく理解・判断し、適切に実行するための機能です。「CQ test®」では、記憶力、注意力、空間認知などに関する5つのテストで脳の状態を測定し、結果をCQ score®として数値化します。検査時間はわずか10分程度で、タブレットのタッチ操作で誰でも簡単に受けることができます。

【特長2】同世代との比較や生活改善アドバイスをレポートで提示

検査結果レポートでは、CQ score®の数値や同年代の標準との比較結果がチャート形式で示され、認知機能の高低が一目でわかります。継続して検査を受けた場合は、認知機能の推移も表示されます。さらに、認知機能を維持・改善するための具体的な生活習慣のアドバイスも提供されるため、検査後にどのように行動すればよいかが分かります。

「Brain Life Imaging®」と「CQ test®」を受診するには?

「Brain Life Imaging®」と「CQ test®」を組み合わせたヘルスケア脳検査は、「冬のご優待コース」にてご受診いただけます。(2025年4月より、オリジナル人間ドックコースへの追加が可能です。)

冬のご優待コース

 

<ヘルスケア脳ドックコース特設ページ>
ヘルスケア脳ドックコース特設ページ

【注】*「Brain Life Imaging®」「CQ test®」は、株式会社Splinkが提供する検査サービスです。

参考文献

人間ドックコース・料金

当クリニックでは皆さまのご要望に柔軟に対応できるよう、多様なコースをご用意しています。
どのコースを受けたら良いかわからない場合は、お気軽にご相談ください。

森山 紀之

医療法人社団進興会 理事長

1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。

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